飲食費の仕訳を行う際、会議費と交際費で悩んだことはありませんか?
前回のミーティングの仕訳は会議費だったから・先輩にそう言われたからという理由で、明確な理由なく記帳していることもあるでしょう。
この記事では、判断を迷いやすい会議費と交際費の意味の違いを明確にし、それぞれの勘定科目の適用範囲や条件を解説しています。
また具体的な例を挙げて両者の区別を紹介しているので、是非参考にしてください。
そもそも会議費、交際費とは|意味の違い
会議費 | 交際費 | |||
---|---|---|---|---|
参加者 | 社内のみ | 社外含む | 社内のみ | 社外含む |
金額(1人分) | 規定なし | 5,000円以下 | 規定なし | 5,000円以上 |
用途 | ミーティング・打ち合わせ | 接待・慰安・親睦 | ||
損金算入 | 可 | 原則不可 |
会議費とは社内・社外のミーティングによって発生した費用
会議費は社内・社外問わず会議で発生した費用です。
ミーティング・打ち合わせ等会社によって呼び方は様々ですが、集まって相談・議論するものが該当します。
会議を行う時に使うものの費用を計上します。
レンタルオフィスやバーチャルオフィス・シェアオフィス等の費用や資料作成費はイメージしやすいでしょう。
また、ミーティングのために用意したお弁当や飲み物・お菓子等も含まれます。
注意点は、領収書に参加者や参加人数等必要な情報を書いておく必要があることです。具体的な記載事項は後述しますので参考にしてください。
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交際費とは事業関係者に対する接待等で発生した費用
交際費は取引先や関係者に対して接待や慰安・親睦を深めるために使う費用のことです。
関係者というのは、会社の事業に直接関係する取引先だけでなく、間接的に利害関係がある企業の人や自社の従業員・株主等も含まれます。
いずれの場合も、事業に関連している支出であることが重要です。
現在取引がない企業であっても、将来的に取引を行う可能性がある企業との食事は交際費に計上できます。
取引先と親睦を図る目的の費用が交際費と捉えると良いでしょう。
国税庁が定める会議費・交際費の違いと範囲
会議費で扱われる・扱われない範囲
会議を行えば、金額にかかわらず会議費として計上できるわけではありません。
通常の昼食程度の判断について、社外メンバーがいれば「5,000円の基準」があるので明確ですが、社内メンバーのみの場合は3,000円程度が妥当と考えられています。
また、打ち合わせを行うことがメインであることが必要です。
企業によっては、関係者が揃うのがお昼の時間だけだからと、ランチミーティングを行うこともあるでしょう。その場合は、昼食代を会議費として扱うことが可能です。
一方で、同僚と昼休みにランチをした際、会話の中に仕事の話があったというだけでは経費で落ちません。
国税庁のサイトには、以下の通り『会議に関連して通常要する費用の例示』として規定されています。参考にしてください。
61の4(1)-21 会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は、原則として措置法令第37条の5第2項第2号に規定する「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」に該当するものとする。(昭54年直法2-31「十九」、平6年課法2-5「三十一」、平19年課法2-3「三十七」により改正)
引用元:国税庁
交際費で扱われる・扱われない範囲
交際費の定義を見る限りでは、対象者や内容の範囲が広いので、経理業務を行う上で判断に悩むこともあるでしょう。
次の費用は交際費から除外されるので、よく確認してください。
- 従業員のための運動会や演芸会・旅行等の費用
今は実施している企業が少なくなっていますが、社員旅行や社内球技大会等の費用は福利厚生費に区分されます。 - 飲食費等の費用が規定の価格以下
1人単価5,000円以下の飲食費は交際費にはなりませんが、それがすべて会議費というわけではありません。
会議の実態があり、領収書に参加者情報の記載が必要です。 - その他の費用
年末年始恒例のカレンダー等の贈与費用は消耗品費、打ち合わせ中の食事代は会議費として計上するのが一般的です。
また、出版物や放送番組のための取材費等は、売上原価に含めるのが一般的と考えられています。
国税庁のサイトでは、交際費の範囲から除かれるものを明確に定義しています。扱いに悩んだときは参考にしてください。
次に掲げる費用は交際費等から除かれます。
引用元:国税庁
(1)専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
(2)飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用
(後略)
会議費・交際費|対象費用の違いとは? 具体例を紹介
基本的に会議費の対象となる例
会議費として取り扱うことが多い費用の具体例をご紹介します。
- お弁当やお茶等の飲食にかかる料金
打ち合わせ中に出したお弁当やお茶、お茶菓子等の費用は会議費に計上されます。 - 会場費や備品使用料
社内に適当な広さの会議室がない場合に、レンタルスペースを利用することはよくあります。
この時の、会場利用料、マイクやプロジェクターといった備品を借りるのにかかった費用も会議費です。
なお、月単位や年単位で契約しているレンタルオフィスは、賃貸料や地代家賃の勘定科目を使用するのが一般的です。使用時間分を計算して振分ける必要はありません。 - 打ち合わせ資料の作成費
役員会や株主総会・社員同士のミーティング・取引先との打ち合わせ等、会社では様々な会議があります。それらの打ち合わせで使用する資料の作成費用は会議費です。
基本的に交際費の対象となる例
交際費は具体的には次のような費用が対象になります。
- 取引先との接待飲食代
参加者が社員のみであっても、福利厚生費や会議費に該当しなければ、交際費に振分ける場合があります。業務上必要のある出費のみが対象で、プライベートでの食事会は対象外です。 - 取引先へのお中元やお歳暮・手土産・お祝い品等
取引先に贈ったお中元やお歳暮・お祝い品、香典や祝儀も交際費に含まれます。
どの取引先にいつ何を贈ったのか、金額はいくらだったかがわかるように残しておきましょう。 - 取引先の接待のためのゴルフや旅行、観劇
取引先と出かけたゴルフのプレー費用は交際費として認められる場合が多いです。
会社の同僚や友人と出かけたゴルフは経費として認められません。
重要なのはそこに取引先がいるかどうかです。
会議費と交際費の違いを判定する4つのポイント
①1人あたりにかかった費用が5,000円以下であるか
飲食費の振分けは会議費と交際費で悩む場合があるでしょう。
会計上はどちらに振分けても問題ありませんが、税務上は区別が必要です。
1人当たりにかかった費用が5,000円を超えるかどうかがポイントとなります。
1人当たり5,000円以下は、会議費として計上できます。超える場合は交際費とするのが一般的です。
社内メンバーのみのミーティングでは金額の基準はないものの、社会通念上3,000円程度が妥当と考えられています。
会議費は、打ち合わせに関する情報をメモした領収書が必要になるので注意してください。
また、会議としての実態がなく、飲食をしただけでは認められないケースもあります。
②社内のみの会食であるか
会食の参加者が社内のメンバーのみかどうかも重要なポイントです。
参加者が社内のみであれば、その会食が打ち合わせを伴うものかどうかで判断できます。
社員の慰安や親睦を深めるための会食であれば交際費、打ち合わせを行っていれば会議費です。
一方、社外のメンバーが1人でも参加していれば、打ち合わせを行ったかどうかだけでなく基準の金額や明細の有無で判断することになるでしょう。
5,000円以下の飲食費は交際費から除外されるので、会議費とするのが一般的です。
③集まりの実態や名称は何か
交際費と会議費を区別するには、集まりの実態が何かを明確にすることも重要です。
会議として招集し、打ち合わせを行った議事録が残っていれば、会議費にできます。打ち合わせで使用した資料や議事録を添付資料としてすぐに提出できるようにしておくと良いでしょう。
議事録が残っていない・そもそも「飲み会のお知らせ」として集まった飲食等、明らかに会議ではない場合は認められません。
また、事業に全く関係ないメンバーも参加している場合は、交際費にもならないので注意してください。
④社内の飲食か・社外の飲食か
飲食が自社で行われたか、社外に出向いたものかによっても判断が変わります。
社内の会議室で行ったミーティングに出したお弁当やお茶は、原則として会議費です。
社会通念上高額過ぎるお弁当は、交際費の可能性もあります。
社外の貸会議室や飲食店で行った打ち合わせは、金額や参加者・会議の実態で判断できるでしょう。
取引先の会社で行う会議に参加しお弁当を差し入れた場合は、実態があったとしても交際費として扱います。手土産と考えると判断しやすいでしょう。
余談ですが、取引先の会社が主催するセミナーやイベントに参加した場合は、会議費として計上することはほとんどありません。交際費や研修費・福利厚生費・諸会費として処理されることが多いです。
具体的なケースを用いて会議費と交際費の違いを考えよう
case1. 取引先とミーティングでカフェを利用した
取引先とのミーティングでカフェを利用した場合は、1人単価5,000円以下のお茶代やランチ代は会議費になります。
ただし、会議としての証拠が必要になりますので、議事録を添付する等の工夫が必要です。
また、領収書には参加者と人数を忘れずに明記しておきましょう。
case2. 社内外の人を招きパーティーを開いた
社内外の人を招き、パーティーを開く場合の費用は交際費です。
パーティーのために来社していただく交通費をお渡しする場合や、お土産を用意した場合も交際費として計上します。
また、取引先主宰のパーティー参加費も、交際費として記帳するのが一般的です。
case3. 社外の人に来てもらい自社の会議室で会議を開いた
取引先の担当者と自社の会議室で会議を行うことも多いでしょう。
その際、時間によってはお弁当やお茶、お茶菓子等を出すことがあります。
この時、飲食費は会議費で処理可能です。
ただし、必要以上に高額な食事の提供は、交際費と判断されることがあるので注意してください。
会議があったという事実を誰の目から見ても明らかにできるように、議事録を用意し参加者情報を記録しておくようにしましょう。
case4. 社内ミーティングで弁当・飲料を提供した
社内ミーティングのお弁当代や飲み物代は、会議費として計上します。
参加者が社内メンバーのみであれば金額の基準はありませんが、豪華すぎるお弁当の場合は、会議費として認められないことがあるため注意しましょう。
飲食の領収書や会議の記録は忘れずに保管してください。
case5. 仕入先の従業員複数人で会食をした
取引先の従業員との会食費用は一般的には交際費ですが、金額によっては会議費として計上する場合もあります。
例えば、仕入先の従業員を含む10人で会食し、支払額が6万円だった場合は、1人当たりの金額が6,000円になるため交際費になるでしょう。
同じく10人で会食したものの、支払額が4万円であれば、1人当たりは4,000円となり会議費と判断できます。
会食を行った時の人数が大切になるので、忘れずに記載しておきましょう。
会議費・交際費を計上する時の注意点を確認しよう
法人には交際費の制限がある
法人の交際費は、原則として損金算入できません。
ただし、例外として、その規模により損金として計上できる交際費もあります。
2014年の税制改正により、損金として算入できる場合が増えました。
2022年8月現在、交際費のうち飲食に関わる費用に関しては、その額の50%まで損金算入ができるようになっています。
ただし、期末時点での資本金または出資金の額が100億円を超える企業は、交際費全額が損金不算入です。
また、資本金が1億円以下の中小企業は、交際費のうち800万円以下は損金として算入が可能です。
飲食交際費の50%以下もしくは交際費の800万円以下のどちらを損金として算入するかは選択できます。交際費の800万円以下を損金算入させた方が、メリットが大きいことが多いでしょう。
領収書に内容の記載が必要
会議費として計上するためには、原則として領収書やレシートが必要です。
領収書には以下の内容が記載されていなければなりません。
- 年月日
- 金額
- 店名と所在地
- 参加者およびその関係(社外であれば会社名も)
- 参加人数
参加者に関する情報は、店舗等で発行される領収書には記載されていませんので、領収書を受け取ったらすぐにメモを残しておくようにしましょう。
交際費の場合も領収書の裏に、上記の情報を記載しておくと安心です。
難しい勘定科目の判断は会計システムで|さらに「oneplat」と連携すれば業務効率が上がる
会議費と交際費を区別するのは、判断に悩むことが多いです。
会食で集まった人数や参加者、会議の実態によっても異なるので、迷うことがあっても仕方ないでしょう。
このように判断が難しい勘定科目は、会計システムを上手に利用することで合理的に行うことが可能です。
会計システムの多くは、適切な勘定科目に自動仕訳を行ってくれるものが多いので、担当者によって勘定科目が違っていたという事態を防ぐこともできます。
学習機能がついているシステムを選べば、使い続けることで過去の入力を元に自動化の精度も上がっていくでしょう。
さらに、会計システムをoneplatと連携させれば、業務効率の向上が期待できます。
oneplatは納品書や請求書をクラウド上で一元管理するシステムです。
振込データの自動作成も可能で、手作業によるミスや担当者の負担を減らせることでも注目されています。
会計システムとの連携も得意とし、明細単位の細かい仕訳も可能なシステムです。
会議費と交際費の違いについてのまとめ
経理担当者が悩みやすい会議費と交際費について、違いや適用範囲・条件を説明しました。
判断するには、会議の実態があるか・参加者に社外のメンバーが含まれるか・1人当たりの金額が重要です。
実態があり議事録も残っている会議の飲食費が適正価格であれば、自信を持って会議費に計上できるでしょう。
必要な記載事項が残っていないと経費にできない場合もあります。
領収書の処理は貯め込まず、日々の業務としてコンスタントにこなしていきたいですね。